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最高裁判所第三小法廷 昭和27年(オ)211号 判決 1952年11月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

第一審判決の言渡が、言渡期日の指定を欠くのみならず、当事者に対し適法に告知されない口頭弁論期日においてなされたことは記録上明かであるし、このことが民訴三八七条にいわゆる判決の手続が法律に違背したときに該当するものであるから、原審が右第一審判決はその言渡手続に違法あるため取消を免れないと判示したことは正当である。そして控訴裁判所において第一審裁判所における判決の手続に違法の点ありとして第一審判決を取消す場合、なお弁論を必要とする場合において事件を第一審裁判所に差戻すことを妨げるものでなく、原審が第一審判決を取消した上、事件につきなお弁論を必要とするものと認め第一審裁判所に差戻したのは記録に徴し相当であつて毫も違法でない。よつて原審が第一審判決を取消し本件を福岡地方裁判所行橋支部に差戻す旨の判決を言渡したことを審理手続に違法ありと非難するに帰着する論旨は、結局理由なきものと認め民訴四〇一条、九五条、八九条の各条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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